オホーツクの海と大地が育てた食材を、毎日の仕入れで見極める
紋別漁港から届く鮮魚を中心に、知床地鶏や名寄産ひまわり豚といった道内各地の銘柄素材まで、食彩酒房 仁志乃屋の仕入れは北海道の生産者と直結している。野菜も含めて道産にこだわる姿勢は徹底しており、日によって並ぶおすすめメニューが変わるのは、その日に手に入った食材の状態を見て判断しているからだ。刺身や焼き魚だけでなく、釜めし・海鮮丼・お刺身茶漬けなど、素材の持ち味を引き出す調理法のバリエーションが幅広い。締めには蕎麦やうどんも用意されていて、一軒で北海道の食を通して味わえる構成になっている。
個人的には、仕入れ次第で毎日メニューが動くという運営スタイルが印象的だった。常連客にとっては「今日は何があるだろう」という期待が来店動機になっているらしく、紋別という漁港の街ならではの距離感が料理にそのまま反映されている。ステーキのような肉料理にも道産素材を使う徹底ぶりで、魚介以外の選択肢を求める人にも応えている。観光客が「紋別に来たらここ」と名前を挙げるケースも少なくないという。
日本酒15種以上を常備、料理に合わせた酒の提案
全国各地から集めた日本酒を常時15種類以上揃え、紋別の魚介との組み合わせを意識したラインナップを維持している。季節やその日の料理構成を見ながらセレクションを入れ替えるため、前回と同じ銘柄があるとは限らない。ウイスキーも4種類を常備し、食中酒としての選択肢は日本酒党以外にも開かれている。飲み放題コースではハイボールやジンソーダ、トマトサワーなど食事との相性を重視したドリンクが組み込まれている。
宴会利用で訪れたグループからは「料理のクオリティが飲み放題付きとは思えなかった」という声が目立つ。一方で、カウンターに一人で座り、店主と話しながら酒を選ぶ時間を楽しむ常連も多いようだ。女子会や少人数の集まりにも対応しており、シーンによって使い分けられる柔軟さがある。地酒を含めた品揃えの更新頻度は、酒好きにとって再訪の理由になり得る。
はまなす通り・ビル2階の32席、深夜26時半まで営業
はまなす通りに面したビルの2階に位置し、カウンター5席を含む全32席の空間で営業している。和モダンの内装で、一人客から貸切まで受け入れる座席構成。全席喫煙可という環境は、愛煙家を含むグループが席を分けずに過ごせる点で重宝されている。Wi-Fi完備で、金・土曜日は26時30分まで営業しているため、二次会や深夜の利用にも向く。
本町6丁目停留所から徒歩およそ2分というアクセスの良さも見逃せない。現金のほかクレジットカードや各種電子決済に対応しており、支払い手段で困る場面はほぼないだろう。予約は少人数から大人数、貸切にも応じていて、電話一本で相談できる体制が整っている。
地元の食文化を伝える場としての役割
食彩酒房 仁志乃屋が掲げているのは、「地元の食材の美味しさを広く伝えたい」という明確な思いだ。食材選定から調理、接客に至るまでその方針が一本通っていて、地元客と観光客の双方に開かれた店づくりを続けている。常連が仕事帰りにふらっと寄れる日常的な居場所でありながら、遠方からの来訪者にとっては紋別の食を凝縮して体験できる一軒という二面性を持つ。アレルギーへの対応も相談ベースで受け付けており、事前に伝えておけば調整してもらえる。
「初めて来たけど、地元の人に混じって飲んでいる感覚が良かった」と話すリピーターもいるらしい。観光ガイドには載りにくい空気感を、実際に足を運んだ人が口コミで広げている側面がある。紋別市内で和食居酒屋を探すとき、漁港の街という土地の利を最も活かしている店のひとつだろう。地域に根を張りながらも、訪れる人の幅を限定しない間口の広さが、この店の立ち位置を支えている。

