宮崎方言で「いい夜」を届ける店の成り立ち
店名の「よかばん」は宮崎の方言で「いい夜」を指す。店長・信樂龍一郎氏がこの言葉に込めたのは、来店した人とスタッフが一緒になって盛り上がり、帰り道に「今日はいい夜だったな」と思ってもらえる場をつくりたいという気持ちだった。カウンター越しに名前で呼び合うようなやりとりが自然に生まれる距離感を重視しており、初来店でもすぐに溶け込める空気がある。古い建物の骨格を残しつつ照明で温度感を調整した店内は、どこか懐かしい古民家を思わせる。
個人的には、カウンターに座ったときの「よそ者感のなさ」が印象的だった。20代から年配の常連まで客層の幅は広く、一人飲みでも宴会でも居場所として機能している。忘年会や女子会に使うリピーターも少なくないようで、「毎回スタッフが覚えていてくれるのがうれしい」という声が食べログのレビューに複数見られる。
炎が跳ねるカウンターと宮崎もも焼きの迫力
看板メニューのもも焼きは、一般的な焼き鳥とは調理法がまったく異なる。炭火の上で豪快に炎を立たせながら一気に焼き上げる方式で、表面に強い香ばしさをまとわせつつ中の肉汁を閉じ込める。シンプルな塩だけで食べると、噛むたびに脂の甘みが口の奥まで届く。カウンター席ではその炎が目の前で立ち上がり、音と熱気ごと料理を受け取るような感覚になる。
チキン南蛮にはしば漬け入りのピンク色のタルタルソースが添えられ、衣のサクッとした歯触りとの組み合わせが鮮やかに映る。鳥刺しは部位を選べる形式で提供され、大根のから揚げは味の染みた大根をカリッと仕上げた一品。炙りしめ鯖は席でバーナーを使って表面を炙る演出があり、注文率の高いメニューだという。炭火焼きの魚介や店主の創作料理まで含めると、宮崎の郷土料理を軸にしながらメニューの奥行きはかなり深い。
芋焼酎のラインナップと5,000円の食べ飲み放題
九州産の芋焼酎を中心にドリンクメニューを構成しており、宮崎限定銘柄の「木挽」やロングセラーの「本霧島」、入手しにくい「伊佐美」などが棚に並ぶ。それぞれの味わいの違いを把握した店主が、料理や好みに合わせて一杯を選んでくれる。ハイボールやカクテルも揃っているため、焼酎に馴染みがない人でも困らない。
通常は単品注文がベースだが、相談すれば税込5,000円で食べ飲み放題のコースを組んでもらえる。宴会や大人数での利用時にはこの柔軟さが重宝されているようで、「予算を伝えたらちょうどいいプランを出してくれた」という口コミも目立つ。テイクアウトにも対応しており、もも焼きやチキン南蛮を自宅に持ち帰る使い方も定着しつつある。
用賀駅徒歩5分、ふらりと寄れる夜の動線
東急田園都市線・用賀駅から歩いて約5分、世田谷区用賀4丁目13-12の1階に店を構える。営業は18時から24時で、定休日は不定休。支払いは現金とクレジットカードに対応し、お通し代は一人500円(税込)。カウンターとテーブルの両方があり、席の希望は予約時に伝えれば調整してもらえる。
全席喫煙可という点は、喫煙者にとって選択肢が限られるエリアでは貴重な条件になっている。予約は電話(03-6411-7767)や食べログから入れられるが、空席があれば予約なしでもそのまま案内される。「仕事帰りに一杯だけ」というちょい飲みの使い方をしている近隣住民も多いらしく、駅からの帰り道にふらっと立ち寄れる距離感が日常使いを後押ししている。


