フレンチの火入れ技法が生んだ、異色のとんかつ
自家製ラードで豚フィレ肉を包み、低温でゆっくり火を通す。この工程によってたんぱく質の変性を最小限に抑え、肉内部の水分を逃がさないまま仕上げるのが、カツレツMATUMURA bis (中日ビルヂング店)の調理哲学だ。断面にはロゼ色のグラデーションが現れ、しっとりした質感と衣の軽い歯ざわりが同時に口の中で弾ける。フランス料理の加熱理論をとんかつに持ち込むという発想自体、名古屋の飲食シーンでも珍しい試みといえる。
個人的には、噛んだ瞬間に肉の甘みがじわっと広がる感覚が強く印象に残った。高温で一気に揚げる通常のとんかつとは明らかに異なり、一枚ごとに素材の状態を見極めながら火入れの時間を調整している。口コミでも「今まで食べてきたとんかつの概念が変わった」という声が目立つ。衣の油切れがよく、食後の重さをほとんど感じないという点も、リピーターが多い理由のひとつだろう。
黒トリュフコロッケという看板の存在感
開店以来ずっとメニューに並び続けている黒トリュフコロッケは、ジャガイモと黒トリュフというフランス料理の古典的な組み合わせをコロッケに仕立てた一品。揚げたての表面を割ると、トリュフの濃密な香りが一気に立ち上る。定食スタイルのカツレツを目当てに訪れた客が、このコロッケを追加注文するケースも少なくないらしい。フレンチシェフの感性から生まれたコース料理も用意されており、ランチ11時から15時、ディナー17時から22時の二部制で営業している。
テイクアウトにも対応しているため、店の味を自宅で楽しむ使い方をしている人もいる。「家族への手土産に買って帰ったら、翌週また買ってきてと頼まれた」という利用者の声もあり、贈り物としての需要が根づいているようだ。忙しい日のランチ用に予約しておく常連客もおり、持ち帰りの選択肢があることで来店のハードルが下がっている。名古屋市内で本格的な洋食を気軽に手に入れられる窓口として機能している。
自社開発・自社製造を貫くブランドの姿勢
運営元のラスアンテルナショナル株式会社は「食を通して悦びと感動を届け続ける」という理念を掲げ、開発から製造、販売・提供までを自社で一貫して手がけている。外部に委ねない体制だからこそ、ソースの配合や付け合わせの構成に至るまで、シェフの意図がそのまま皿の上に反映される。「私たちにしか生み出せない価値を創造し続ける」という言葉は、科学的な探求心と伝統技法の融合を日々実践する現場から生まれたものだ。食材の組み合わせや香り付けの細部まで妥協しない空気が、厨房全体に染みついている。
ある常連客は「何度来ても同じクオリティで出てくるのが信じられない」と話していたという。一枚ごとの仕上がりにブレが出にくいのは、レシピの標準化ではなく、職人が素材の個体差を読みながら微調整を重ねているからに他ならない。フレンチの伝統技法と独自の感性を掛け合わせるスタイルは、単なるメニュー開発の枠を超え、ひとつの料理哲学として店全体を貫いている。
栄駅直結、雨の日も濡れずにたどり着ける立地
愛知県名古屋市中区栄4丁目、中日ビル3階。地下鉄栄駅の地下街と直結しており、改札から徒歩およそ1分で店の前に立てる。屋内だけで移動が完結するため、天候に左右されずに足を運べるのは大きい。買い物ついでや仕事帰りにふらっと立ち寄れる距離感が、日常使いの店として選ばれやすい理由になっている。
主要クレジットカード、交通系IC、電子マネーといった決済手段に幅広く対応している。中日ビル駐車場をはじめ提携駐車場が複数あり、車での来店も不便を感じにくい環境が整う。「電車でも車でもアクセスしやすいから、県外から来る友人との食事にも使いやすい」と感じる利用者も多い。名古屋の中心部でこの利便性を備えた飲食店は、意外と限られている。


